超音波の基礎原理を学ぼう!

プローブ(探触子)

プローブ(探触子)は超音波を発生するとともに、超音波ビームを送受信する非常に大切な部分である。超音波診断装置の主要構成部品ともいえ、プローブの持つ周波数帯域や特性等の性能が装置全体の性能や画質に大きく影響する。

 

プローブ(探触子)の内部構成は、先端(生体に接する面)部分から順に「音響レンズ」・「音響整合層」・「振動子(素子)」・「バッキング」という順に並んでいる。

プローブ

代表的なプローブ(左からコンベックス・リニア・セクタプローブ)

 

【振動子(素子)】
振動子は超音波を送受信する部分。電圧を加えると振動して超音波を発生し、逆に振動すると電圧を発生するいわゆるトランスデューサーである。圧電素子とも呼ばれ、ピエゾ効果(圧電効果)を備える素材にて作られている。圧電効果は水晶に代表される特性であるが、超音波診断装置では一般的にPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)が使用されている。他にもPVDF(ポリフッ化ビニリデン)なども用いられる。

 

【バッキング(ダンパー)】
振動子の背面に配置され、後方への超音波の伝搬を抑制。パルス幅を短くするのに寄与している。

 

【音響整合層】
λ/4層とも呼ばれ、振動子と生体間の音響インピーダンス差を少なくし、超音波を効率よく送受信するために多層で配置される。マッチング層とも呼ばれる。

 

【音響レンズ】
検査時に生体表面との摩擦を少なくするという目的もあるが、屈折を利用して超音波ビームを集束し、スライスの厚み方向への分解能を向上するために配置されている。一般的には凸型で生体内音速よりも遅い素材(1000m/sec程度:シリコンゴム)を使用している。

 

【プローブの種類】
リニア型・コンベックス型・セクタ型が一般的に用いられるが、経食道エコーや経直腸超音波検査等用いる体腔内用のプローブ、穿刺等で使用する特殊プローブ等がある。


走査(スキャン)

プローブの走査方式にはセクタやリニア、コンベックス、ラジアル、アーク、サーキュラなどのスキャン方式があり、主に単振動子を機械的に走査するメカニカルスキャンとアレイプローブを電気的な制御で走査する電子スキャン方法がある。これらプローブとスキャン方式は用途に合わせて適宜選択する必要がある。

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