超音波の基礎原理を学ぼう!

グレーティングローブによる虚像

アレイプローブにおいてスラント(電子偏向)により超音波ビームを偏向させた際、微小振動子の球面波相互干渉により意図した方向と同じ角度で反対側に形成される擬似的な音圧分布(ローブ)を「グレーティングローブ」と呼び、この時グレーティングローブからの反射信号をメーンローブ上に表示することで発生する虚像は「グレーティングローブ アーチファクト」と呼ばれる。現象はサイドローブによる虚像とよく似ているが虚像の発生原理は異なるため理解が必要となる。

 

グレーティングローブはアレイプローブで遅延回路を用いたスラント(ステアリング機能)の使用で生成されるローブのため、電子アレイのみでみられるアーチファクトである。「d < λ/sinθ+1」(d:エレメントピッチ、λ:波長、sinθ:偏向角)を満たせばグレーティングローブは発生しないことから、狭ピッチプローブの使用が有効であり偏向角の設定も重要である。電子偏向を最も多用するフェーズドアレイで問題となるケースが多く、スイッチドアレイにも見られるアーチファクトとして有名である。

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