超音波の基礎原理を学ぼう!

超音波の特性

超音波の基礎や原理を理解する上で、超音波の生体内特性、音響特性を理解することは検査や診断をおこなう上においても、きわめて大切なことである。超音波の特性を理解することによって、アーチファクトの出現や解消方法、装置の調節、プローブの走査などを考えることができる。

 

超音波の特性を考える上で大切なものは以下のような事項である。

 

反射
超音波は音響特性インピーダンスの異なる媒質境界面で反射する。この時、媒質間で固有音響インピーダンス値差が大きいほど境界面における反射が強い。

 

屈折
媒質の境界に斜めに超音波が入射した場合に超音波が屈折するケースがある。超音波の屈折はスネルの法則に従うため屈折方向や屈折角は媒体音速と入射角が問題となる。

 

減衰
媒質中を超音波が伝搬する過程で超音波強度が減弱すること。主なものに吸収・拡散減衰などがある。減衰係数は[dB/cm・MHz]で表され周波数に依存する。

 

干渉
音波が重なり合って合成波を形成することを干渉といい、干渉時の波の位相差により強めあったり弱め合うケースがある。

 

回折
超音波の進行方向に障害物がある時に障害物の陰に回りこんで進んでいくという性質がある。波が障害物に開いた小さなすき間(スリット)を通り抜ける場合、波面はホイヘンスの原理により球面状に広がる。

 

散乱
超音波が不規則な境界面あるいは微小反射体に入射すると反射波が四方八方に広がってしまうこと。

 

拡散
超音波が媒質中を伝搬する際には媒質の密度変化を起こしながら進行する。媒質密度が平衡状態を維持する方向に進行することから音波は広がっていく。音源からの距離の2乗に比例して拡散は大きくなる。

 

音場と指向性
音場とはプローブから放射された超音波ビームの音圧分布のことをいい、送受する能力が振動子の軸からの方向によって異なる特性を指向性という。

超音波の特性記事一覧

超音波の反射

超音波診断においては、連続波ドプラ等を除き「パルス反射法」にて超音波断層画像やドプラ信号を画像に表示していることはパルス反射法の項で述べた。これは超音波が反射する特性があり、それを医療診断画像に利用したものである。超音波の反射は、音響インピーダンスに差がある媒体間(組織間、細胞間等)の境界にて起こる...

≫続きを読む

 

超音波の屈折

超音波は、伝搬過程において、ある条件下で屈折する性質を持つ。超音波ビームが音速の異なる媒質間の境界に角度をもって入射すると屈折を生じる。このとき臨界角を超えて入射した場合は全反射してしまう。超音波の屈折角はスネルの法則に従うが、この超音波の屈折によってアーチファクトが発生する原因になるケースも多いこ...

≫続きを読む

 

超音波の減衰

(脂肪肝でみられる深部減衰)

≫続きを読む